世界的に盛り上がりを見せる女子サッカー。日本でも女子サッカーは男子サッカーより好成績を収めるなど、プレーしたい女の子の数は増えています。しかしスクールに通わせるとなると、どうやって探したらいいの?男子が多いところに入れて大丈夫?など様々な疑問が生まれてくることでしょう。
今回の記事では、女の子にサッカーを習わせる前に知っておきべき日本の女子サッカーの環境やメリット・デメリット、何歳までは男子と同じスクールで、何歳以降は女子サッカーにも詳しいコーチが在籍するクラブやスクールに通わせた方がいいのか、などを網羅的に解説します。
女子のサッカー人口
そもそも、実際にはどれくらいの人々がプレーしているものなのでしょうか。メリット・デメリットに触れる前に女子サッカーの環境から紐解いていきます。
人口比で、最もサッカー競技人口が多いドイツを例にとってみてみましょう。ドイツは人口約8,300万人の国で、うち全体のサッカー競技人口は約713万人にも及びます。そして、そのうち女子のサッカー競技人口はが約110万人と言われています。
一方、日本はどうでしょうか?
日本は人口約1億2,500万人で、全体のサッカー競技人口は約88万人に対し、女子のサッカー競技人口は約わずか2.8万人です。
それぞれ、割合として比較すると、全人口比に対しドイツのサッカー女子割合は1.32%、日本では0.024%と、50倍近い開きがあります。同様に男女比を見てみると、ドイツの男性のサッカー競技人口に対する女性の比率15.6%に対し、日本ではわずか3.2%と、ここでは5倍の開きがあるのが分かります。
さて、国によってどうしてこんなに女子サッカーの競技人口に差があるのでしょうか?ちな
みに、日本のテニス人口の場合、男性の競技人口が56%、女性が44%で、ほとんど拮抗し
ているのが分かります。以下に、日本で女子サッカー人口の少ない理由についてまとめてい
きたいと思います。
女の子の身体的特徴
当然のことながら、男の子と女の子は身体が異なります。女性の身体的特徴を、男性と比
較してみましょう。
身長:男の子よりも成長期が2~3歳早く、伸びが最大に達する成長スパートの時期10~14歳
骨:骨密度の増加が男子よりもやや早い
筋量・体脂肪:筋量は男性と比べて約10%低く、体脂肪は男性より約10%高い
月経:10歳~14歳の間で初経を迎え、約1か月の間隔で起こる
アメリカスポーツ医学会は、女性アスリートの健康上の問題として「利用できるエネルギー不足」「視床下部性無月経」「骨粗鬆症」を挙げています。これら女性アスリート特有の健康問題は、怪我とは異なり、成長段階で特別なケアが必要になることから、コーチ・親ともに女子の異常を見抜くスキルと、心身ともにサポートする配慮や気配りが重要です。
そのため、コーチ・親共に女の子の異常を見分けて、サポートする能力が必要になります。理想的には、女子の健康問題に詳しい女子のサッカーコーチに師事することですが、実際にはまだまだ日本では女子のサッカーコーチが少ないのが現状です。
女子サッカーの受け入れ環境
小学生の女の子を受け入れるサッカースクールは、たくさんあります。しかし、思春期を迎える中学年代になると、女子サッカー部や女子サッカークラブがなく、男の子との特徴の違いによってサッカー環境を離れるケースが増えてしまいます。
こうした現状を鑑みて、日本では現在女子のクラブチームが増設される傾向にあり、受け入れ態勢もを整えられつつあります。このようにして、女子サッカーの受け皿問題も少しずつ、整備されていくでしょう。
女子サッカー文化
ドイツと比較すると、サッカー人口だけでなく、年齢比率にも大きな違いがあります。成人
女性とのサッカー人口が、以下の図で示す通りドイツと日本では真逆となっています。
そもそも、女子のサッカーを支える大人の人数自体が日本では足りていません。
「サッカーをプレーする」➜「サッカーを支える」側に回る人が全体で少ないだけでなく
、成人の女性がサッカーサポートする側に回る人はかなり希少です。
女の子が習い事でサッカーをするメリット・デメリット
さて、このように日本ではまだまだ浸透率の低い女子サッカー事情ですが、具体的に女子が
サッカーをおこなうことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?デメリットとともに目を通してみましょう。
メリットは多いですが、当然デメリット、というか懸念点もあります。
そんな女子サッカーの現状を理解した上で、メリットとデメリットをお伝えしていきましょう。
メリット
・認知能力
・非認知能力
・神経系の発達
・身体的発育
・社会的スキル
・アイデンティティの確立
・アイデア・クリエイティビティ
・ルール
これらは男女ともにサッカーをプレーすることで得られるメリットです。
・認知能力とは、大まかにある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断・解釈して、その情報処理をするまでの過程を指します。サッカーの認知能力に大切なことは、情報量やその反応や処理するスピードだけに及びません。
自分自身の能力と照らし合わせたり、過去の自分自身の経験に基づく記憶に照らし合わせて判断することも求められます。さらにチームでできること、天気などの外部環境、さらに身体の状態などを把握し、それに見合った情報を取捨選択することが大切となります
例えば、空間認識が代表的です。(ボール真上に挙げて落ちたボールキャッチする。仲間との距離を確認してパスを出したい。相手(敵)から奪われないように、距離を確認。)
・サッカーの非認知能力は、自主性や協調性、やり抜く力、忍耐力、好奇心などか挙げられます。
・神経系・身体的発達は、プレゴールデンエイジ、ゴールデンエイジにはとっても大切になります。
・社会的スキル
子供の社会的スキルを向上させるのに役立ちます. サッカーをプレーするには、他のプレーヤーと協力し、チームとしてプレーする必要があります。学校と家ではないサードプレイス(第三の環境)、異なる環境の子供同士がサッカーを手段にして交流を行います。
新しい子供がグループに参加しても、子どもたちは怖がらず、社交が容易になります。
・アイデンティティの確立
サッカーは、チームプレーと個人プレーの両輪で回ります。そのため、自分の特徴を知るだけでなく、チームの中でどのように発揮するかを求められます。それらのサイクルが子供に自信を与えて、アイデンティティの確立していきます。
・アイデアやクリエイティビティ
サッカーは、自由な発想が求められます。サッカーの多くの形は、数々のチャレンジと失敗から生まれてきました。ドリブルのフェイントは、アイデアやクリエイティビティ(創造性)のその代表的な例です。
・ルール
スポーツを楽しむためには、安全やルールを守らなければいけません。スポーツを楽しむための方法やルールを学ぶことで、身体的・精神的な事故を未然に防ぐことができます。
【女性特有のメリット】
・コミュニケーション自体を得意とするため、チーム力が大きい
・周りをよく見ている
・パワーに頼らない身体の使い方
・特有の創造性とチームへの貢献
デメリット(懸念点)
・女の子用の商品アイテムが少ない
・女の子だけでプレーするとなると人数が少ない
・女性のコーチが少ないので話しにくいこともある
・悩みを共有できる人が少ない
【女性選手特有】
・コミュニケーションで衝突が起きることもある
・気分や身体の調子でやる気が出ない時がある
・中学生の段階で大きく男の子と力の差を感じてしまう
【年齢別】女の子のサッカースクールの選び方
結論、10歳までは女子だからという理由でスクールを厳選する必要はなく、単純に家から
距離や料金、どのような教え方をしているのか、といういわゆる „普通“ の選び方で構いま
せん。ケアが必要になるのは、身体の成長スピードで差が出てくる10歳からです。
10歳以降はある程度女子サッカーにも知見を持つコーチが在籍するスクールを探す方が、不安材料が減ります。上述の通り、女性コーチの人口は圧倒的に少なく、お住まいの近辺では全く出てこない可能性すらあります。ですが、男性のコーチでもきちんとした勉強をしている人であれば問題ないので、まずは無料体験を提供しているスクールを訪問し、会話してみることをオススメします。
実際に体験レッスンを通じてみると、こうした心配事は杞憂に終わり、お子さんのほうから
目を輝かして「お母さん、もっとサッカーを習いたい!」と懇願することも多々あるのだと
か。
だいたいどこのスクールも無料体験を提供しています。気軽にお問い合わせをして、一度体
験させてみるのが効率的です。
女子サッカーは希望しかない
記憶も新しいですが、日本女子サッカーは世界を制しています。しかも、決して、海外でプ
レーする著名な選手を有していたわけではありませんし、海外と比較して多くの資金を投じ
たわけでも充実した設備を抱えていたわけでもありません。
日本の女子サッカーチームが世界を制した理由には、女性特有のチーム力と、日本人の団結力が融合した結果が挙げられると言えるでしょう。
身体的特徴で海外チームに引けを取る日本女子が頂点を取れるスポーツ、それほど、個人の実力差を凌駕するチーム力を持つことができるのも女子サッカーの特徴だともいえます。
そして、サッカーを支える女子の成人女性が今後、女子サッカークラブの増設と共に増えて
いくことでしょう。同時に、多くの海外で活躍する女子のサッカー選手も増えてくることが期待できます。
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