はじめに「サッカーを何歳から始めるべきか?」という問いは、「どんな目的でサッカーを始めるのか?」と密接にかかわっています。
①サッカーで、身体的にも精神的にも成長してほしい
②プロサッカー選手になりたい(なってほしい)
③プロサッカー選手になれなくても、サッカーで成長したい(してほしい)
「中学に入ったら部活で活躍してほしい」「本人がプロを目指すなら応援したい」「正直まだ分からない」など目的は様々です。ただ、①~③のいずれの場合でも „始める年齢” に関して参考にすべき共通のデータがあります。それはアメリカの医学者・人類学者が提唱したスキャモンの発育曲線です。
【結論】子供の習い事であるサッカーは何歳から始めるべきで、何歳だと遅い?
プロサッカー選手のデータにフォーカスすると、3歳~10歳でサッカーを始めたという選手が多く、特に、6歳からサッカーを始めた選手が最も多いことが明らかになっています。
一般的によく勘違いされているのですが、見た目の身体的成長と神経系の成長プロセスは、全く異なります。要は、身体が大きくなる速度と運動神経が良くなる速度は関係ないということです。
スキャモンの発育曲線でも分かる通り、一般型発育と神経型発育曲線は全く異なります。
一般型は、身長や体重、筋肉、骨格などの成長を示したもの。ヒトの身長や体重の伸びが大きくなるのは、生まれてすぐの時期と12歳から20歳までの時期です。
神経型は、脳や脊髄、視覚器などの神経系や感覚器系の成長を示したもので、今回のテーマでは運動神経と解釈することができます。そしてこの運動神経が出生後から一気に増加し、12歳頃には100%の状態にまで達します。
言い換えると、身長は12歳以降に加速度的に伸びるが、運動神経は12歳までに伸ばさないとその先は伸びづらい、ということです。だから年長や小学生の時期にサッカーを始めるというのは、目的が何であれ非常に重要なことなのです。
【年齢別】知らないと損する身体的能力と精神的能力な特徴
個人差もありますが、全体としては年齢によって大きく特徴があります。
3歳~4歳(年少や年々少)
身体:「あそび」の中で、神経系の発達が始まります
精神:好奇心が旺盛で、気分で発言や行動が決定します
5歳~6歳(年中~年長)
身体:身体の大きさが、同じ年齢でも個人の成長速度によって異なってきます
精神:自分の得意なこと、不得意なことを理解するようになります
7歳~9歳(小1~小3年)
身体:5歳から始まるプレゴールデンエイジ(神経系の発達)の最終段階
精神:長続きはしないものの、高い集中力をもっている
10歳~12歳(小4~小6年)
身体:ゴールデンエイジ 期で、専門的動作学習が最も向上する時期
精神:自我の芽生え・競争心が旺盛になってくる
ここから分かることは身体と精神を切り離すことはできないということと、各年齢別に教えるべき内容が完全に異なる、ということです。
例えば3~4歳にサッカースキル(専門的学習)を教えるのは精神年齢的に得策ではありません。ゴールデンエイジと呼ばれる10~12歳で専門的学習の発達速度を最高に持っていくためには、それまでの過程で精神年齢に合った教育を施すことが超重要なのです。
サッカースクールの選び方
ここまでの説明で分かる通り、成長に合わせて何を教えるかはとても大事です。これは目指す先がプロでなくても一緒です。
また、あくまで親御さんのサポートがあっての習い事ですから、教育プログラムが完璧でも100キロ離れたスクールに通わせるのは不可能です。したがって、子供のための指標と親のための指標を把握した上でスクールを選びましょう。
子供のための指標
子供をサッカースクールに通わせる前に、こうした発育の過程を重視しているかどうかだけは確認しておきましょう。
【正しい段階的なサッカー教育】
3~4歳:[動く]包括的な動きの学習
5~7歳:[遊ぶ]遊び形式で多面的なテクニックの学習
8~9歳:[学ぶ]サッカーの基礎のトレーニング
10~12歳:[専門]専門的なトレーニングの開始
さらに簡潔にすると、7歳以下の子供たちに大人が行うような専門的スキルを長時間教えていないか、また10歳以上になっても専門的トレーニング開始していないかを確認すれば、一定の適切なスクールかどうかを判断できます。
親のための指標
習い事を始める上での、親の4つの指標
・時間
・場所
・コスト
・コーチとの相性
時間や場所、コストに関しては近隣のスクールを比較して総合的に良い場所を選べばいいでしょう。また親御さん、そして子供のコーチとの相性も大事な指標です。コーチの人となりや教育理念などがHPに書かれていれば、教え方やメソッドについて知ることができます。
結論、親にとっての指標をクリアした上で、子供の発育を考えたプログラムを提供しているサッカースクールが、一般的な最適解となります。
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