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POST コーチ日記

子どものサッカーの試合で勝ち負けより大切にしたい3つのこと

子どものサッカー試合を観戦していると、つい「勝ってほしい」「もっと活躍してほしい」と願うことは、親として自然な気持ちです。試合は単なる勝敗を競う場ではありません。特に成長期の子どもたちにとって、試合は心や技術を育む貴重な学びの場です。結果だけにこだわると、子どもがプレッシャーを感じたり、サッカーの楽しさを見失ってしまうかもしれません。


しかし、実際には「どんなアプローチがいいのか?」「サポートの方法はどんなのがあるの?」など悩むこともあると思います。

今回の記事では、親として意識したい「勝敗以上に大切な3つのポイント」をご紹介します。お子さんがサッカーを通じて成長する姿を見守りながら、より充実した経験を得られるようサポートしていきましょう。


目次

  1. 子供が勝敗を意識しない方がよい時期とは?

  2. 勝敗から得られるメリットとは?

  3. 親としてできる具体的なサポート

  4. まとめ


1. 子供が勝敗を意識しない方がよい時期とは?

こどもたちの作戦会議

子供が勝敗を意識しない方がよい時期は、主に幼児期から小学校低学年(おおよそ3歳から8歳)の時期とされています。この時期に勝敗を過度に意識させない方がよい理由は、以下のような学術的見解に基づいています。


①発達段階における認知能力の未熟さ

幼い子供はピアジェの認知発達理論における「前操作期」(2歳から7歳頃)に該当し、この時期の子供は抽象的な思考や論理的な推論が未熟です。勝敗に関わる複雑な因果関係を理解するのが難しく、勝敗そのものが極端な感情反応を引き起こす可能性があります。例えば、負けることへの過剰な恐怖やストレスが学びの妨げとなることがあります。


創造力や想像力を働かせる機会がより重要となります。


②内発的動機付けの促進

デシとライアンの自己決定理論(Self-Determination Theory)によると、子供の活動への内発的動機付け(楽しさや好奇心から動くこと)は、外発的動機付け(報酬や結果への期待)よりも長期的な成長にとって重要です。勝敗にフォーカスすると、子供が楽しみや学びではなく、勝つこと自体を目的にしてしまう可能性があります。これにより、失敗や負けに対する恐怖が内発的動機を損なうリスクがあります。


モチベーションとパフォーマンス、精神的健康を子供自身の中で作っていく大事な時期で、親を喜ばせたり、勝敗のためだけにプレーを選択しないような環境設計が大事です。


③社会的スキルの発達への影響

この時期の子供は、協力やコミュニケーションなどの社会的スキルを学ぶ重要な段階にあります。勝敗に過度に焦点を当てると、他者との競争を強く意識しすぎ、協調性や共感を学ぶ機会が減る可能性があります。特に、チームスポーツの場合は、仲間と協力する楽しさや目標を共有する大切さを感じ取ることが重要です。


④自己肯定感の形成

子供の自己肯定感はこの時期に形成され始め、外部からの評価や結果に過度に依存しない形で育てることが望ましいとされています。勝敗にこだわると、勝ったときだけ自分に価値を見出し、負けたときに自信を喪失するパターンが形成されるリスクがあります。


⑤長期的な成長の視点

スポーツ心理学では、「長期アスリート育成モデル(LTAD: Long-Term Athlete Development)」が提唱されており、このモデルでは幼少期の段階を「ファンダメンタルズ(基本動作の習得)」期と定義しています。この時期は勝敗よりも、基本的な身体スキルや運動に対するポジティブな態度を育てることが優先されるべきとされています。


子供の人生を通して活動的である未来を作っていく、大切な時期になります。


結論

幼児期から小学校低学年の間は、勝敗ではなく「楽しむこと」「学ぶこと」「成長すること」に焦点を当てる環境を提供することが、子供の健全な心身の発達に繋がります。この時期に適切なアプローチを取ることで、子供は自己肯定感や社会的スキル、内発的動機付けを育てながら、長期的にスポーツや学びを楽しむ姿勢を身につけることができます。


2. 勝敗から得られるメリットとは?

小学生高学年

9歳以降、勝敗から得られるメリットはなんでしょうか。成長の過程において適切に勝ち負けを経験することが、心身の発達や社会性の向上に役立つためです。勝敗を意識することで学べることや得られる効果もたくさんあります。


① 目標設定と努力の重要性を学ぶ

勝敗があることで、子供は勝つため、あるいは目標を達成するために努力する姿勢を身につけます。目標に向かって努力し、その結果を受け止める経験は、困難に立ち向かう力(レジリエンス)や粘り強さを育てる基礎になります。

  • : サッカーの試合で勝つために練習を重ね、努力の成果を感じ取ることで達成感や成長を実感できる。


②負けることで挫折への耐性が身につく

勝敗がある状況では、当然「負ける」経験もします。子供の頃から適度な挫折を経験することで、精神的な強さ(メンタルタフネス)や失敗から学ぶ姿勢が育ちます。社会に出てからも、挫折や困難に立ち向かう力は重要です。

  • 学術的観点: スポーツ心理学では、失敗経験を振り返り、次の行動につなげる「成長マインドセット」(キャロル・ドゥエックの理論)を育む機会になるとされています。


挑戦

【Embraces】喜んで受け入れる

障害

【Persists】乗り越えるまでやる

努力

【No pain,No gain】努力をすれば必ず成長できる

批評

【Learns from】他者の批評から学ぶ

他者の成功

【Be inspired by】他者の成功を刺激にする


③自己評価と課題解決能力の向上

勝敗の結果は自分やチームの努力や能力の現れでもあります。勝った場合は自信につながり、負けた場合は自分やチームの課題を振り返るきっかけになります。これにより、現状を冷静に分析し、改善策を考える「課題解決能力」や「論理的思考」が育まれます。

  • : 「なぜ負けたのか?」「どうすれば次は勝てるか?」と考えるプロセスが成長につながる。


④仲間との協力や競争の価値を知る

勝敗を意識することで、仲間と力を合わせる「協力」の大切さや、相手と切磋琢磨する「競争」の価値を理解できます。健全な競争は互いを高め合う力となり、仲間意識やスポーツマンシップを育みます。

  • : チームスポーツでは仲間との連携や相手を尊重する姿勢が身につく。


⑤達成感や自信を得る

勝つことで得られる達成感や喜びは、子供の自己肯定感を高める大切な要素です。努力が報われた経験は「自分はできる」という自信につながり、他の場面でも積極的にチャレンジする姿勢を育てます。

  • 学術的観点: 自己効力感(バンデューラの理論)が高まることで、主体的に目標へ取り組む力が育まれるとされています。バンデューラの理論とは、「自分ができること」への期待


⑥公平さやルールの理解が深まる

勝敗がある競技では、ルールに従うことの大切さや、公平性を理解する機会になります。ルールを守る中で勝つためには何が必要かを考え、秩序や規範意識を育てることができます。

  • : ルールを守らず勝とうとしても意味がないこと、フェアプレーの精神が勝敗以上に大切であることを学びます。


⑦努力と結果の因果関係を理解する

「努力すれば必ず勝てるわけではないが、努力しなければ勝てない」という因果関係を学ぶことは、現実社会を生きる上で重要な教訓となります。勝敗を通して、努力の意味や限界、結果を受け入れる力が養われます。これらを短期・中期・長期的で体系的に学ぶことができます。


結論

子供にとって勝敗は、単なる「勝ち負け」にとどまらず、努力の大切さ、挫折への耐性、仲間との協力、達成感など、社会で生きる上で必要なスキルや態度を学ぶ貴重な機会です。ただし、勝敗を意識させる際は、結果だけにこだわるのではなく、努力の過程や成長に焦点を当て、子供がポジティブに勝敗を受け止められるようサポートすることが大切です。


  1. 親としてできる具体的なサポート

親御さんのサポート

子どもがサッカーを心から楽しみ、成長を感じられるように、親としてできるサポートを意識しましょう。

  1. 観戦中の姿勢を意識する

    試合中に大声で指示を出すと、子どもにプレッシャーを与えることがあります。「見守る」姿勢を意識し、子どもの努力を温かく応援しましょう。声援を送らないということではないので、積極的に応援しましょう!


  2. 試合後のポジティブなフィードバック

    試合後はまず「頑張ったね」と労いの言葉をかけ、良いプレーを具体的に褒めます。子供自身に課題があっても「次にこうしてみよう」と前向きに一緒に挑戦をサポートすることが大切です。


  3. 負けた試合での励まし

    試合に負けたときこそ、「負けたけど、最後まで頑張った姿が素敵だったよ」と伝えてください。次の試合に向けて、前向きな気持ちを持たせる声かけを意識しましょう。過去からの成長に目を向けて、その成長を共有してあげてください。


結果ではなく、子供たちの成長を見守ってあげましょう!

子どものサッカー試合では、「勝ち負け」よりも「チームワーク」「挑戦」「楽しむ心」を意識することで、子どもたちが多くの学びを得ることができます。

親として、結果に一喜一憂するのではなく、努力や過程に注目することが何より大切です。


ヴェルツは練習の中の試合形式の練習でも、結果だけにアプローチするのではなく、子供たちがサッカーの技術やサッカーの楽しさをより感じてくれるようにサポートしています。考えることの大切さや協力することで解決できる練習に取り組んでいます。


子どもの成長の瞬間に立ち会える喜びを感じながら、一緒にサッカーの楽しさを共有していきましょう!


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