リフティング、何回できればいい?
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POST コーチ日記

リフティング、何回できればいい?

「コーチ!リフティング10回できるようになったよ!」

「コーチ!リフティング2回しかできないだけど...」


サッカーの現場で、こうした子供たちの報告や相談がよくあります。ヴェルツのコーチたちは、彼ら自身が目標を持って挑戦していること自体が素晴らしいと思っています。私たちコーチは、それを応援しています。しかし話を聞いていると、リフティングについて間違った知識もあるので、今回はリフティングの理解について保護者の方にお話ししたいと思います。


結論、

リフティングは、目標設定が最重要!


です。


ヴェルツコーチも多くが元プロの選手であり、リフティングの良し悪しを経験しています。今回はドイツのリフティング事情を交えながら、説明していきます。


リフティングする少年
リフティングする少年


リフティングの目標設定の方法


お子さんがリフティングで頭を悩ませたときに、保護者の方がどういった声を掛けてあげられるかで、お子さんの成長も大きく変わります。

専門的、技術的な知識ではなく、保護者の方が何を理解して、お子さんとにどういったサポートができるのかを4つに分けて一緒に考えていきましょう。




1. 段階的なリフティングの目標設定


リフティングを行う理由は、技術の向上と考えている人が大半だと思います。ここで大切なのは、「その向上した技術をどこで使いたいのか?」を考える必要があります。

年齢別に、リフティングの技術・精神・身体的要素に分けて説明していきます。


【技術】

~4歳   ボールに触れる

5歳~6歳 ボールを浮かすことを楽しむ

7歳~8歳 リフティングを始める

9歳~12歳 回数やテクニック、全身の部位で挑戦する

13歳~  試合で使える技術・調整・確認


【精神】

~4歳   ボールを使って楽しく遊ぶ

5歳~6歳 自分とボールとの関係を体感する

7歳~8歳 自分でボールを扱う感覚を養う

9歳~12歳 能動的に向き合う

13歳~  自信をつける、取り戻す


【身体】

~4歳   様々な動き

5歳~6歳 運動機能の幅を広げる

7歳~8歳 運動機能を高める

9歳~12歳 専門的な運動技術の獲得

13歳~  複合的運動機能の習得


年齢別に分けることが、最適ではありません。理由は、実際にはお子さんの身体的、精神的、技術的要素を分析したうえで、どんな技術の向上のための練習が必要かが決定します。


しかし、実際にはそうしたパーソナルトレーニングがすべてのお子さんができるわけではありません。

ここでは、リフティングによって、各年代で何を獲得したいのかを明確にした上で、お子さんをサポートするべきかを考える必要があります。




2. ヴェルツではリフティングを教えるの?


ヴェルツでは、リフティングを教えることは、原則ありません。

無料体験や宿題で、おうちでできるトレーニング方法として、教えることはあります。


ヴェルツでは、ドイツで学んだ考え方を推奨しています。

リフティングは、技術を向上させるための一つの手段でしかありません。
リフティングは技術を向上させるために、おススメの一つの練習方法です。

この二つの考え方は、矛盾しているようで、とても重要な考え方だと思っています。


お子さんが最も好きな練習は、ゲーム(試合)です。ヴェルツも、ゲームを重要視しています。毎回、ゲームをする時間をできる限り設けています。サッカーのゲームでより良い内容や結果を目指して、日々お子さんたちは練習をしています。リフティングが上手になることが、最終的な目標ではありません。それは、フリースタイルという、異なる競技の技術です。




お気づきかと思いますが、ゲームの中で使える技術練習にこそ意味があるのです。これは一つ重要な視点ですので、「リフティングができないことを嘆く必要がない」ということを覚えておいてください。例えリフティングが3回しかできなくても、まったく問題ありません。お子さんが、「回数ができない」と悩んだら、必ずこのお話をして下さい。


では、「なぜ、リフティングがここまで重要視されるのか?」といった疑問は残ります。これが、先ほど言った「技術の向上には有効な手段」であるからです。


幼児期では、ボールが空中に上がることはほとんどなく、少しずつ身体や技術が付いてくるとボールが宙に浮いてきます。それは、子供たちにとって、まったく違う世界です。

平面の世界から、立体の世界に入るような感覚です。


同時に、ボールを追いかける→ボールを扱うという感覚も芽生えてきます。これにより、子供たちは、ボールを宙に浮かしながら、扱うという技術練習が楽しくなります。さらに、片足で立って、ボールを扱ったり、ミスをしたときに瞬時に判断したりと、神経系や肉体的刺激もあります。


この技術的、精神的、肉体的な成長段階で、リフティングは有効な練習の手段となります。


しかしヴェルツでは、これをヴェルツの練習では組み込んでいません。お伝えしたように、ヴェルツはサッカースクールであり、リフティングを上手にするスクールではなく、いかにサッカーを通してお子さんが成長するかを大事にしています。


その上で、ゲームとゲームで使える練習を大事にしているからです。


ではヴェルツではリフティングを否定しているのか?という問いですが、ヴェルツはリフティングは推奨しています。ただ、能動的に行うことが重要だと思っています。


回数だけでなく、ボールの質、リフティングをする部位、ボールのサイズや種類を変えるなど、様々な設定をして技術を自ら上げていく練習として推奨しています。



少年サッカーのゲーム
少年サッカーのゲーム


3. 保護者のリフティングに対する10か条


何度も聞かれる質問なので、はっきり10カ条で保護者の方にお伝えします。


①リフティングで回数ができなくても、まったく問題はありません

②「リフティングが楽しい」という気持ちを応援しましょう

③得意な部位だけしかできなくても、問題ありません

④能動的にチャレンジしていれば、声は掛けないでください

⑤昨日より今日、今日より明日を大事にしましょう

⑥いっぱい失敗することを応援しましょう

⑦ほかのお子さんと比べていたら、自分の目標と向き合うことを応援しましょう

⑧さらに上手になりたい方法が見つからなければ、コーチへ連絡!

⑨成功したら、しっかりと褒めましょう

⑩リフティングに飽きること、辞めることを認めてあげましょう



4. 最後に


昨月、小学校3年生の子がコーチのもとに歩み寄ってきました。リフティングが3回しかできない子その子が「絶対できないから、僕3回しか!」と言って、実際に見せてくれました。「じゃ、一緒にやってみる?」と、ものの10分で7回出来てしまいました。


リフティングはコツや技術的な要素も必要になりますが、「〇〇ならできるよ、絶対!」という精神的な突破口を作る周りの保護者やコーチの声が最も大事です。


何よりも歩み寄ってきたその子が、一回でも多く記録を伸ばしたいと、最後はスライディングしながらボールを触りにいったこの場面が印象的でした。このギリギリの積み重ねと、できた時の周りの「よくやったね!」という声で、大きくお子さんは成長します。





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